JRジャヤワルダナさんの物語 〜もうひとつのJR〜

スリランカの元大統領、JRジャヤワルダナ(Junius Richard Jayewardene)さんの幼少期や学生時代、家族の話、仏教へ改宗した話などを知ることができます。現地取材や伝記を翻訳した情報など、日本で最もジャヤワルダナさんの情報を知ることができるサイトを目指しています!

JRさんはクリスチャン?仏教徒?〜宗教を選択できるという事〜

f:id:srilanka-jr-japan:20170322005724j:plain

ん?JRさんがクリスチャン?ブッタの言葉も引用してるのに何言ってるんだこいつは。と、思ったそこのあなた。JRさんは元から仏教徒だったわけではないんです。今日はそのお話。

【目次】

1、JRさんは子供の頃、クリスチャンでした。

どうしてクリスチャンだったかというと、お父さん家族がクリスチャンだからです。なかなか複雑かつ素敵な家庭で育っているんですが、JRさんの家庭についてのお話はこちらの記事を読んでください。

srilanka-jr-japan.hatenablog.com

 

Jayewardene家(お父さん一族)

お父さんは子供たちをクリスチャンとして育てようとしてました。JRさんが子供の頃は弟のコルベットとお父さんと一緒に近くの教会、St.Michael's Polwatteか Christ Church at Galle Faceに毎週日曜日に通っていました。彼らは大人になるまでそこでクリスチャンの科目を勉強し、聖歌隊のクラスにも参加していました。また、JRさんが子供の頃はお父さん側の従兄弟たちと仲が良かったのも、クリスチャンであったことに一役買っていたのでしょう。

お父さん側の先祖のお話↓

srilanka-jr-japan.hatenablog.com

Wijewardene家 (お母さん一族)

仏教に関することは、お母さん側の家族からの影響です。JRさんのお母さんは子供たちを連れて定期的に郊外に住む母、ヘレナさんの家に遊びに行ってました。このヘレナさん、郊外の家以外にも大きな家を所有しており、そこにJRさんのお母さん側、Wijewardene家の親族は事あるごとに集合しました。ここでは常に、修行僧への食べ物を用意しておくことや与えることを習慣としていました。これらは仏教の習慣でしたが、子供たちは興味を持ち、一緒にその準備などを手伝うなど、常に仏教徒の習慣に触れていました。また、実家でもお母さんは同じような生活スタイルを貫いていたので、常日頃触れていた習慣は仏教の方が多かったのでしょう。

 

2、そしてJRさんは?

このようにお父さん側のJayewardane 家と、お母さん側のWijewardene家の文化の違いは明確でした。お父さん側はクリスチャンで英語を喋るのに対し、お母さん側は仏教徒で、伝統的な習慣を守り、シンハラ語を話し、ローカルフードを食べ、現地人と自由に行動しました。また、JRさんと弟のコルベットは、クリスチャンの考えや習慣など、一部は受け入れられてもその全て受け入れることができなかったそうです。彼らは父親の書斎でキリスト教仏教に関する本に触れることで、その考えが強くなって行きました。そんな時、お母さんの弟(Walterおじさん)は、JRさんたちが持ち始めたクリスチャンの考えや習慣に対する疑問について、相談にのるなどして彼らを助けていました。このおじさんは仏教徒でありWijewardene家の中でも仏教に興味を持っていた人なんですが、割と早い段階でJRさんたちはこのおじさんよりも仏教への造詣が深くなったそうです。なんて子供たちだ!!

f:id:srilanka-jr-japan:20170322005802j:plain

 お手上げのおじさんはJRさんたちをVajiraramaya temple に連れて行き、2人の高僧、Palane VajiranganaとNaradaに紹介しました。2人の高僧がJRさんとコルベットをみたとき、彼らはすでに仏教徒として成熟していたそうです。ちなみにこのお寺、スリランカ仏教の修行や勉強で有名な仏教寺だそうです。この高僧のお二人もよくわかんないけど、写真で紹介されているし、すごいみたいですよ。→Sri Vajiraramaya - Bambalapitiya - Colombo, Sri Lanka - Dhamma Sermons

 

3、仏教徒に!

JRさんのお父さんは仕事で忙しく、JRさん達がこのお寺に定期的に通っていた事に気付かなかったそうです。もしくわ知っていたとしても、通う本当の理由には気付けなかったと。お父さんが、通っていたことに気付いたとき、JRさん達はすでに仏教徒に変わりきっていました。お父さんはその状況を受け入れ、無理にクリスチャンに戻そうとはしなかったそうです。素敵なお父さん!

 

ちなみにコルベットの方が早く仏教徒になり、僧としての修行を終えました。JRさんは、クリスチャンと仏教徒の間で悩み続けたそうですが、学生の頃にはクリスチャンと思うことができなくなったそうです。

 

結局、JRさんの兄弟のうち、1人の妹を除いた全員が仏教徒となりました。

 

宗教を選択できるという事

いかがだったでしょうか?JRさんの宗教の移り変わり。

宗教を自由に選択できるって、すごく幸せな事だと思いませんか?宗教っていうと、拒否反応が出る方も多いと思いますが、宗教は言い換えれば家庭のローカルルールが共通化したものだと思うんです。実家では普通だけど、ちょっと変わった習慣や決まりごとってあるでしょ?それがしっかりと明文化・習慣化されて、ある程度以上のコミニティを形成したものが宗教といわれているものだと思います。

自分の場合、実家はおそらく仏教浄土真宗か何かだと思う、くらいの認識で、親から強制されたこともなければ、自分で選択したこともありません。同じような日本の方は多いのではないのでしょうか?宗教がないのは、いいのか悪いのかは知りませんが、その選択を自分でできるのは幸せなことだと思います。宗教の自由な選択って、その人やその宗教にリスペクトがあるからできるんだと思います。戦争とかテロとか宗教間での争いはリスペクトの反対で、究極的な考えの押し付けあいでしょう?

JRさんの場合は、両親がともに信仰の深いクリスチャンと仏教徒であるにもかかわらずうまいことやっていて、JRさんの宗教もなんだかんだ自分で選択させてくれた。この精神をもっと持てば、争いなんてなくなるはずなのに。

 

 引用文献↓

J.R. Jayewardene of Sri Lanka a Political Biography: 1906-1956 (J. R. Jayewardene of Sri Lanka Vol. 2)

J.R. Jayewardene of Sri Lanka a Political Biography: 1906-1956 (J. R. Jayewardene of Sri Lanka Vol. 2)

 

 

 (著者:ヤマ)